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デジタル社会と情報教育(1)

電脳記事

高校生が必修科目として全員が学ぶ教科「情報」。正式には共通教科「情報」といいます。この科目が高等学校学習指導要領に初めて設置されたのは、平成11年(1999年)のこと。

そして、平成 15 年度入学者以後、全ての高校生が教科としての情報教育を受けることになりました。

それから20年、社会の情報化は急速に進み、デジタル社会と呼ばれる今日、学校教育における「情報」の学習は役立っているのでしょうか?

まー
まー

私は高校情報科の教員免許を
取得しています。
高等学校教諭1種免許状(情報)と
いうものです。

現在は教育の仕事に携わっているわけではないので、

ペーパーティーチャーということなんですが、

現代社会において、備えるべき(備えた方が良い)「情報」に関するスキルについて

この共通教科「情報」で教えられる内容を一つのモデルとして、考察を行う際の基準となるのではないかと考えています。

私と教科「情報」

私と「情報」という科目の出会いは、10年余り前になります。高校生の時はこの科目はまだありませんでした。ちょうどその頃、職場で情報システム関係の業務を担当しており、「情報」について体系的に学んでみようと思い立ちました。

「情報」を学ぶに当たっては、情報処理技術者試験とか、ITベンダーが実施するスキル試験などがありましたが、仕事に関する情報スキルの取得というよりは、学問的な興味を満たす方に気持ちが傾いていました。

そこで、大学の専門課程で学ぶことを考え、さらに一定の目標があった方が張り合いがあると思い、情報科の教員免許を取得することをターゲットに定めました。

平日、日中は仕事がありますので、大学の夜間の課程か通信教育課程を対象に調べましたが、当時、高校情報科の免許を取得できる課程は、全国に6つほどしかない大学の通信課程を受講するしかないことがわかりました。

大学での学習(私の場合)

実際の大学・課程の選択に当たっては、開講科目や修業年限の他に、単位取得のための履修方法やスクーリング、科目修了試験などの状況、それから学費(重要です)について調べる必要がありました。

教員免許の取得に必要な単位は、それまでの学歴や取得済みの免許などにより変わってきます。私の場合はすでに大学を卒業していたので、学士の学位はありましたが、在学時に教職課程を終えていなかったため、教員免許を持っていませんでした。

学士の学位を取得済みで、初めて高等学校教諭1種免許状の取得を目指す場合は、教育職員免許法第5条別表第1を基準に単位を取得していく必要がありました。

この他にも、すでに同じ校種の他の免許(例えば高校の数学)を取得していると、教職に関する科目が免除されるので、教科に関する専門科目を中心に単位を取得することになります。

私の場合は、「4年制大学を卒業していて、教員免許を持っていない場合」に当たりますので、教員免許の取得に必要な単位は概ね次のようになりました。(以下は私が単位を取得した大学の現在の案内を参照しました。)

①教科及び教科の指導法に関する科目(教科に関する専門的事項、各教科の指導法)
 【24単位】

②「教育の基礎的理解に関する科目」「道徳、総合的な学習の時間等の指導法及び
 生徒指導、教育相談等に関する科目」「教育実践に関する科目」
 【28単位】

③教育職員免許法施行規則第66条の6に定める科目
 (「日本国憲法」、「体育」、「外国語コミュニケーション」、「数理、
 「データ活用及び人工知能に関する科目又は情報機器の操作」各2単位)
 【8単位】

④大学が独自に設定する科目
 【8単位】

①+②+③+④の合計で68単位です。大学の卒業に必要な標準的な単位は124単位と言われていますので、かなりのボリュームであることがわかります。
大学での単位取得に加えて、教育実習も必要になります(①の区分に含まれる)。

なお、③の区分の単位は、前に在学した大学で証明を取れれば免除になる場合があります。「体育」の単位がちゃんと取れていて良かったです、そうでなかったら、体育の授業も受けなければなりませんでした(笑)

ちなみに、教科の専門科目としてどんな授業を受けなければならないかと言うと、次のようなラインナップです。なかには、高校で教えるレベルを遥かに超えている内容もあると感じましたが、勉強になりました(^^)

【「情報」教科に関する専門科目】

・情報倫理
・コンピュータシステムⅠ
・コンピュータシステムⅡ
・アルゴリズム
・情報システム学概論Ⅰ
・プログラミング基礎
・システム開発基礎Ⅰ
・データベース技術
・情報システムの設計
・コンピュータネットワーク
・ネットワークセキュリティ
・ディジタル画像概論
・音声情報処理
・Webアプリケーション基礎
・情報職業論
・情報科教育法Ⅰ
・情報科教育法Ⅱ

教員免許の取得

「教育実習」及び実習後に行われる「教職実践演習」の単位を除き、必要な単位の取得には丸2年かかりました。

授業はほとんどインターネットによる遠隔授業を選択することができました。すべての科目でレポートの提出があり、レポート審査に合格すると単位取得のための試験が受けられます。私の地元にも地方試験会場が設けられたので助かりました。

3年目に頼み込んで高等学校で教育実習をさせていただきました。社会人になってからずいぶん経っての教育実習でしたので、いろんな意味で緊張したし、やりにくいこともありました。

教育実習が無事終わると、仕上げの「教職実践演習」です。これは東京にある大学のサテライトキャンパスで行いました。3日間毎日、朝から夕方まで8名の受講生が順繰りに模擬授業を行い、指導教員と他の学生がそれについて評価を行います。これはある意味本番の実習よりきつかったです(^^;

以上のことがすべて済むのに3年かかりました。その翌年に教員免許の申請、無事免許状を取得できました。

免許取得のための学習の過程で、今後展開されるデジタル社会において、どんなことが高校生をはじめ、社会に出ていく子供たちに必要なのかを考えさせられました。

次回は、最新の教科書「情報Ⅰ」の内容と実際のデジタル社会との関連について考えたいと思います。

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