何時間もかかった手術の間、
本人にとってはあっと言う間です。
でも目覚めてからが辛かった(^^;
術後目覚めると
手術が終わって最初に呼びかけられた時の事はよく覚えていないのですが、名前を呼ばれて、例の「目をぎゅっとして、口をうーとやって、いーって言って」とやらされました。
これは顔面神経が正常に機能しているかというテストです。
私が罹った病気「聴神経腫瘍」は脳から直接出ている、左右それぞれ12対ある「脳神経」のうち、第8脳神経と呼ばれる「聴神経」に腫瘍が発生したものです。
やっかいなことに、発生した腫瘍は肥大するにしたがって、周りの神経も巻き込んでしまいます。
もっとも可能性の高いのが「顔面神経」だそうです。
この手術で大事なことは、腫瘍の摘出によって「顔面神経」の損傷を最小限に抑えること。
顔面神経が傷つき、その機能が損なわれるとその後の生活に大きな支障が出ます。
顔の筋肉を正常にコントロールできなくなり、顔が歪んでしまったり、目を閉じることが出来なくなったりします。目を閉じることができなくなると、最悪失明することもあるそうです。
私の場合、このテストは全てクリア?だったのでしょう、
執刀医は”満足そうに”顔を引っ込めました(と思います)。
ICUにて
次に気付いたのが、多分ICU。
「Intensive Care Unit」、ご存じ「集中治療室」です。
もちろん初めての経験です。
しばらくぼーっとしていましたが、そのうちにいろいろなものが身体に付けられていることが分かりました。両手に点滴、鼻にチューブ、尿カテーテル、酸素マスク、心電図の電極などなど。
とにかく寝ていること自体が辛かったです。
ベッドは表面がボコボコしていて、一定時間になると勝手に動くし(床擦れ予防)、鼻チューブは吐気をもよおします。
術側を下にできないので、私の場合はいつも左向き。途中で看護師さんたちが何度か向きを変えてくれるのですが、直ぐに左向きになってしまいました。この姿勢でも十分苦しいのですが、それでも一番楽なので。
鼻チューブは本当に辛い。
思わず苦し紛れに抜いてくれませんかと言うと、「それは患者さんと医療者の信頼関係を損なうことになります。我慢してください。」と丁寧にそしてキッパリと断られました(^^;
ICUでは時間の経過がとても遅く感じます。途中で何度か時間を聞いても、「夜中の2時です。」「夜中の3時です。」とか言われます。
とにかく頭痛と吐き気が酷く(実際は何も出ませんが)、時間が空けば点滴に鎮痛剤を入れてくれるのですが、ほとんど寝られず朝を迎えることになりました。
でも、痛かったり、苦しかったりしたら我慢しないで率直に伝えた方が良いと思います。何もしてもらえる事が無くても、看護師さんとのコミュニケーションで、戦っているのは自分一人ではないと思えるからです。
この苦しいICUの中でも明るい話題が…。
「片耳物語⑨」でご紹介しましたが、入院の日に知り合いになった同病の男性患者の方から看護師さんを通じて激励のメッセージが届きました。
この方は先に手術を終えられて、ご自分もまだこのICUの何処かにいるはずなのに…。
とても嬉しかったし、勇気が出ました(^^)
そうこうしているうちに、執刀医の先生が再び登場。例の「目をぎゅっとして、口をうーとやって、いーって言って」とやらされ、結果を見て満足そうに戻って行かれました。
この先生は本当に神出鬼没です。この後も何度も顔を見せられました。
<<続きます>>