PR

片耳物語⑧ ~ 入院直前

片耳物語
まー
まー

検査入院から2か月半弱。
ようやく本番の手術のために入院する日がやって来ました。
検査入院していた3月初旬にはまだ咲いていなかった桜が、
もうすっかり散ってしばらく経っていました。
もう別の花々に主役を譲る季節です。

入院前週のこと

入院前週のある日の朝、1通のメールが届きました。

大学時代の友人、そして病気のことを知らせている数少ない友人の一人からのメールでした。もうそろそろ入院だけど大丈夫か?という内容の短いメール。

ああ、大丈夫。うまくいったら連絡するよ。と、それだけ返しました。

今年は久しぶりに大学時代を過ごした町に集まろうと、友人たちと計画していた矢先にこの病気が発覚。この5月の予定を、お前が復活してからだと秋に延期してくれた旧友たち。

秋には懐かしいあの町で、友人たちとまた会いたい。
いよいよ翌週は入院です。

入院前出勤最終日

いよいよ入院、そして手術の週となりました。
今日は入院前の出勤最後の日。
中途半端に月曜日となってしまいましたが、これは手術の日程が変更になったからです。

今日で最後という他は、まったくいつもの月曜日です。
燃えるゴミを集積場に出して、そのまま駅まで歩き、いつもの時間帯の電車に乗ります。

職場に着くと、お昼のお弁当をいつものようにメニューを見ずに注文します。
何も特別なことはありません。
(好き嫌いで昼食の内容が偏らないようにいつもメニューは見ません。昼食時のお楽しみです。)

引き継ぎもあらかた済ませているので、今日は自分のデスク周りの整理が中心です。
処理していない書類が無いか点検し、今日片付けようと思っていた仕事に取りかかります。

午後、上司に私の所属するチームのメンバーとともに別室へ呼ばれ、私が明日から療養のため休暇に入る旨の伝達がありました。不在の間の仕事の分担など簡単な事務連絡。全員事情は承知しているので特段の質問もなく、後は軽い冗談などを言い合っておしまい。

今日は定時に業務終了。周りの人たちに挨拶して自席を後にしました。
就職してからこんなに長いお休み(おそらく1ヶ月以上)は初めてなので、感慨深いです。

いつ戻ってこれるかなぁと、帰りがけに、今出てきた職場の建物を振り返って見ました。
いつも通りの一日でしたが、これだけは普段はしないことでした(^^)

入院前日

翌日からの入院に備えて、入院前日は職場から一日普通のお休み(特別休暇じゃない年次有給休暇)をもらいました。
前日になっても、なかなか荷物がまとまらない…(^^;

一旦まとまった荷物を眺めてみると、それでももう少し減らさないと電車の移動では持ち切れません。午前中あれこれ考えながら荷造りしていると、突然病院から電話がありました。

病室が希望通りなら電話連絡しないと言われていたのですが、さては…。
案の定、差額ベッド代が必要な部屋になったという連絡。

入院日数が術後でないとはっきり確定しないので、入院手続きの段階では差額ベッド代が必要にならない病室を希望していました。この時には病室の空き具合によっては希望通りにならない旨を念押しされました。

「差額ベッド」というのは、入院経験のある方はご存じでしょうが、基準額以上で健康保険の適用にならない経費ということです。

私が入院することになる大学病院では、6人部屋は差額ベッド代が必要ではなく、4人部屋では1日当たり6,480円の差額が余分にかかります。更に2人部屋では1万円以上の差額になります。

ちなみに、私が住む地方では4人部屋でも差額の負担はなく(差額ベッドは2人部屋から)、これは地域よって変わるそうです。さすが東京は新宿の一等地に所在する大学病院は違うなぁと思いました。
でも、よく考えたらそれでも随分安いんでしょうね。
大学病院の隣にはヒルトンホテルがありましたが、こちらは一泊いくらなんでしょうか?
やれやれ、痛い出費ですがやむをえません。

そうこうしているうちにもうお昼になってしまいました。
しばらく食べられないモノを食べようということで、近所のお好み焼き屋さんへ行きました。
普段は食べたことがない、「もんじゃ焼き」を頼んでみました(^^)

あれ、もんじゃ焼きってこんなんだっけ?食べ慣れていないと、こうなりますよね(笑)
今まで「固まっていない」この状態の食べ物はなんとなく苦手で、注文したことはなかったのですが、食べてみると意外に美味しいと思いました。食わず嫌いでした。
もう一度食べられるのかなぁと頭の片隅をよぎりました。
「束の間の平和なひととき」を過ごしました。

<<続きます>>