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片耳物語② 〜 判明した病名

片耳物語

脳外科へ

病名の判明

総合病院の耳鼻科の医師にMRIの画像を見せられてかなり落ち込んでいた私は、翌日最後の宣告を受けるような気持ちで同じ病院の脳神経外科へ。生まれて初めての脳外科受診です。

ここで、幸運にも今お世話になっている大学病院へとつながる偶然に出会います。

この病院の脳神経外科の常勤の医師はその当時お二人いました。初診でどちらの先生に診ていただくかは選べません。まぁ選べと言われても私にはわかりませんでしたが...。

仮にA先生とB先生とすると、私を診ていただいたA先生は開口一番、「これはチョウシンケイシュヨウですね」と。

いまいち反応が薄い私に、『聴神経腫瘍』と書いてくれました。(「はじめに」戻る)

そして、発症率が10万人に1人の病気でほぼ良性の腫瘍であること、
対応としては、

①「経過観察」
②「放射線治療」
③「手術」

の3つの選択があるということ、
しかし、私の場合はすでに3cm超と大きいため放置すると脳幹を圧迫して危険なため手術をした方が良いこと、そして、この手術は脳外科の中でもかなり難易度の高い手術であり、執刀する医師の技量によって結果が大きく左右されるため、手術を行う病院は慎重に選択した方が良いことなどを説明してくれました。

大学病院の紹介

「で、どうしますか?」と先生。

「はっ?」と私。
たった今受けた説明がちゃんと消化できずにぼーっとしていました。

「ちょっと遠くなるのですが、東京の「□□大学病院」が良いと思います。この病院にはこの病気の手術で有名な〇〇先生がいらっしゃいます。実は私はついこの間までその病院で〇〇先生の下で働いていました。」と先生。

なんという偶然!

大変失礼ですが、渡りに船とはこのことです。

二つ返事でお願いした私に、

「病院連携でお願いすると1か月ぐらいかかってしまうので、これから私が直接電話してみます。ちょっと待っていてください。」と先生。

いったん診察室を出て外の待合ロビーで待っていると、ほどなく再び診察室へと呼び込まれました。
翌週の火曜日(この日から1週間後)にその”大先生”に診ていただくことが決まりました。

同じ病気の患者さんが苦労されて巡り着くその先生に、幸運にも最短で出会えることになりました。
A先生感謝ですm(__)m

この日、病院から家に帰ると、この病気「聴神経腫瘍」についてインターネットで調べてみました。
紹介していただいた〇〇先生も検索でヒットしました。市立病院の医師が言ったとおり、この病気の手術に関してはかなり有名な先生ということがわかりました。

いろんな方々の闘病ブログを拝見していると、私よりもずっと深刻な病気を抱えている方が、リアルタイムに自分に起こる出来事を淡々と書かれていたりして凄いなと思いました。

この時はまだ病気が判明したショックで呆然としていたのですが、のちに病気、それも深刻な病気になればなるほど精神的なダメージは大きく、病気と闘う前に自分自身と闘わなければならないと痛感することになります。

大学病院へ

大学病院、初受診

さて、1週間後、地元の総合病院の医師から紹介された東京の大学病院を受診する日がやってきました。大先生に診ていただく約束は取り付けてもらったものの、この病院の制度としては初診の予約ができないため、朝できるだけ早く受付をしてくださいと言われていました。

午前7時半、病院の外で並ぶ覚悟で行ってみると、もう入り口は開いていました。受付番号札を発行機から取って「外来診療申込書」を記入し初診受付前の椅子に座って時間まで待ちます。

受付が始まると番号順に呼ばれるので、診療申込書といっしょに保険証、紹介状、検査画像データの入ったディスクを提出します。

この時、ネットの闘病記から知識を得ていたので、※「限度額適用認定証」というのを一緒に出して登録してもらいました。

「限度額適用認定証」

※「限度額適用認定証」
「高額療養費制度」というのがあって、入院や手術など医療費が高額になった時、自己負担額の上限を超えた部分が後日(3か月後ぐらい)支給されます。

しかし、3割の自己負担と言っても、先に自分で立て替えるのは厳しいので(医療費が100万円だとすると30万円!!)、この「限度額適用認定証」というのを提示すると、その分を先に”現物支給”として「保険者」が直接病院へ支払ってくれるため、自分への請求が軽減されるというものです。(職場等で申請すればすぐに発行してくれます。実際には入院までに用意できれば良いです。 

※保険者は保険証の発行者で保険証に記載されています。手続き先は、社保の場合は各健康保険組合(職場等)の窓口、国保の場合は在住市町村や国保組合の窓口になると思います。

受付が終わってしばらく待合椅子で待っていると、番号を再び呼ばれて診察券を渡され、検査データのディスクを返却してくれます。それから脳神経外科の外来受付の場所を案内されるのでそちらに移動することになります。

検査データの読み込みにしばらく時間がかかったので、やはり早めに来て正解でした。

大学病院というところは、お見舞いとかも含めて来るのは生まれて初めてです。漠然と何やら恐ろしげなイメージを持っていました(笑)

地元にある医科大学の大学病院にすら行ったこともなかったし、正確な場所の認識すら怪しい感じです。私の中で大学病院というのはテレビドラマや小説の中の世界、「ドクターX」や古くは「白い巨塔」といった感じでしょうか...。

いよいよ大先生との対面

さて、初診の受付を終えていよいよ階上にある脳神経外科の外来へ向かいます。

外来の受付で診察時間帯を案内する紙をもらいます。私は初診なので一番最後の時間帯をしめす記号が記載されていました。もうすでに多くの患者さんが待合椅子に座って診察を待っていました。

診察開始時間が近づくと先生方が続々と廊下を歩いていらっしゃいます。私が指定された診察室の前の待合椅子で待っていると、目の前を「大先生」が通り過ぎていきました。

当たり前ですが、「HPの写真の先生だ!」と内心ちょっとテンションが上がります。

私の指定時間は最後の時間帯でしたが、待っているとほどなく受付の女性に呼ばれて、

「〇〇さんはフリーの時間帯になりました。いつ呼ばれるかわからないので、ここにいてくださいね。」と告げられました。

大学病院は普通の病院と違って、当然のことながら医学教育と研究を行う場所でもあるので、診療を受けるに当たっては「その特性を理解して診療を受けます」という同意書に署名する必要があります。同意書は外来の受付で渡されるので、必要事項を記入して提出します。

具体的には同意書に教育・研究の協力に同意を求める項目がいくつか示されているので、そのうち自分が同意できる項目についてチェックします。そして、必ずしもすべての項目に同意しなくても良いことになっています。

さて、早めに診察室の中待合(中にはさらに先生が実際に診察される部屋があり、そのドアの外です)に呼び込まれた私ですが、そこには何人かの患者さんがすでにおり、診察はまだしばらくあとだなと思っていました。

すると、待合の椅子に座る間もないほどすぐに名前を呼ばれたのです。びっくり。

いろいろ準備していた質問事項もすっかり飛んでしまいました(^^;

大先生はHPの写真で見るよりもがっしりとした方でした。体育会系という感じです。

「A先生は、大分細かく説明してくれているね。私から話すことは余りないな。彼はこの病院にいた先生で、我々の仲間です。」

と、地元の市立病院の先生が書いてくれた紹介状の所見を上機嫌で読みながらお話しされました。

併せてMRIの検査画像を見ながら腫瘍の大きさをスケールで測り、

「対応としては、経過観察、放射線治療、手術とあるけど、この大きさだともう経過観察は意味ないし、放射線もサイズオーバーです。手術しかないと思います。」

とはっきりおっしゃいました。

それから…「難しい手術なので、手術するなら経験を積んだ医師のいる設備の整った病院を選択することが必要」と続けました。

「ここでやりますか?」と先生。

「お願いします。」と私は即答しました。

手術日は5月、術前の検査入院が2~3月と決まりました。
(この受診が前年の12月の第1週だったので、手術までは5ヶ月もありました…。)

右耳に異変を感じてから、2つの耳鼻科診療所、総合病院の耳鼻科・脳神経外科そして大学病院の脳神経外科へと、僅か1か月半あまりで自分の未来を委ねることになる医師と病院にたどり着いた訳ですが...。

ここまでは、何かにとりつかれるように先へ先へと進んできたのですが…しかし、手術日も決まってさあ安心というわけにはいきませんでした(^^;

>>【続きます】<<